前回の続きです。
コロナ危機は、実体経済、国民生活を大きく毀損していますが、それに対する政府の対応はこの点でも大きくずれまくっていて、根本的に間違っています。
布マスク配布などという対策が如何に弥縫的で的外れであるかはいわずもがなですし、この期に及んで、そのための業者の選定に怪しいところがあるなど、あきれるばかりですが、重要なことは、今起きている実体経済の毀損とそれによる国民生活への重大な影響をどうやって回避、あるいはダメージを和らげるかということです。
前にも述べたとおり、消費税をゼロにするというのは有効な政策のはずですが、それはひとまず措くとして、今まさに破綻の危機にある事業者、生活者をどうやって守るかという点に絞って述べておきます。
今になって、やっと賃料の補助のような話が出ていますが、遅すぎますし、不十分です。
コロナの影響が出始めて3ヶ月以上、そして、緊急事態宣言からもすでに1か月以上が経過しており、事業を営んでいる人々にとっては、賃料やローン、リース代その他の固定経費や税金等の支出は避けられず、体力的に持ちこたえられない事業者が次々と破綻に追い込まれつつあります。
政府は休業「要請」をしつつ、それに対する補償はしないという対応を取って来ましたが、実質的には「強制」に等しいわけですから、きちんとした補償が、賃料に限らず必要経費全般についてなされるべきですし、税金についても、猶予もしくは免除の政策が取られるべきです。
ただ、こうした固定経費の負担軽減という政策だけでは不十分です。
たとえば、破綻を避けるためには、大家との関係で、「賃料が払えなくても期限の利益を喪失しない」という政策も必要ですし、そうなると、賃料が受け取れなくてもローンを払わなければならない大家について、やはりローンの負担を軽減する政策も必要となります。
その先には金融機関の受ける不利益の問題もあるわけです。
つまり、援助の公平性という観点もありますし、影響が波及して行く場面を想定した総合的な補償が必要だという観点に基づく施策が必要であることはちょっと考えれば誰にでもわかることのはずです。
財務省の官僚が財政支出を渋っているということもあるかもしれませんが、長い目で見るべきです。
この危機を乗り切ってくれた事業者は税金を納めてくれるようになるはずですから、その方が、国、自治体にとってもありがたい結果となるはずだからです。
とにかく、コロナ危機については、「徳政令」と評価できるような総合的な政策が必要です。
たとえば、アルバイトができない大学生が大学を中退せざるを得なくなるのではないかということも言われていますので、成績とは無関係に、経済的な事情のみで給付されるような「特別奨学金」といった制度を検討するであるとか、国民生活のあらゆる面に対して特に必要な箇所を拾い上げて手当てすべきです(一人10万円の給付は、条件付きで世帯30万円という政策よりはましですが、目先のことしか考えない付け焼刃政策で費用をかける割に効果が低いことは目に見えています)。
もちろん、前にも述べた失業手当の給付要件の緩和、給付額の増額、期間延長などの政策も行うべきだし(失業手当の増額については今頃になってちょっと言いだしてますが)、さらに踏み込んでベーシックインカムの制度を構築するという方策だって、国民の先行き不安の解消のためには十分検討に値します。
それに比べ、今の政府の対応は、あまりに金融市場などに偏っていますが、実体経済の破綻を避けることこそが最優先なのだということを強く言いたいと思います。
何度も書いていますが、犬を撫でながらワイングラスを傾け、財界の裕福なお友達を優遇するような人物がトップとなり、国民生活を守ろうという気概もそれを実現する英知を絞り出そうという姿勢も感じられない今の政権では、コロナ危機を早期に乗り切る政策を打ち出せないに違いないというのが私の見方です。
とにかく、みんなで大きく声を上げなくてはならない時なのだと強く思います。