第2 医療事故が起きてからの対応のポイント
手前味噌になりますが、医療事件は専門性が高く、一定の知識と経験が求められますし、真相解明に必要なカルテの入手方法を検討しておく必要もありますので、早めに、医療過誤を一定程度扱った経験のある弁護士に相談に行くことが必要となります。
後述のとおり、費用も掛かりますので、事件性があるのか否かを見極める必要もありますし、医療側との接触をすべきか否かといったことも含めた今後の対応についても、慎重な検討が必要な場合もあります。
相談のみであれば、さほど費用も掛かりませんので、弁護士の助言を仰ぐことをお勧めします。
現実には、事故発生直後に、医療側と話し合いをしたり、今後の対応について決断を求められることがありますので、そうした場合に、医療側に何を尋ね、当事者としてどう行動して行くかは、時に非常に重要なポイントとなります。
詳細は、また別項で触れますが、医療側に対しては、いたずらに感情的になることなく、事故が起きたことについての経緯について、できるだけ詳細に、その場面場面ごとの医学的な判断も含め、説明を受けるようにしてください。
また、死亡事故であれば、解剖や、異状死が疑われるのであれば、届け出を求めることも、事故の原因を調べる上では、時に必須となります。
もし、任意開示等で、すでにカルテを入手しておられる場合には、そういった資料を持参して、弁護士の相談を受けてください。
カルテが手元にあっても、その資料から、医療側の法的責任の有無について、素人の方が判断することは決して容易なことではありません。
もちろん、弁護士といえども万能ではありませんが、医学的な仮説を立てて専門医の助言を仰ぐことで、法的責任の有無について一定の見通しを立てることがより容易になります。
調査、検討段階では、事案によりますが、弁護士費用として数十万円程度、証拠保全を実施する場合の実費が10万円から、保全するカルテの量によっては、20万円前後かかるのが通常です。
調査段階でかかる費用としては、ほかに、協力医への相談費用、私的鑑定意見書を依頼する場合の意見書の作成費用が大きなものとなります。
相談費用は1回数万円程度ですが、意見書の作成となれば、20万円から、複雑な事件では50万円程度かかることもあります。
訴訟となれば、その時点で、弁護士費用がかかります。
請求額によって費用は異なってきますので、詳細は、「弁護士費用について」をご覧ください。
もっとも、私たちの事務所では、支払い方法を含め、依頼者の経済状況に応じて、できるだけご相談に乗るよう心がけておりますので、遠慮なくご相談ください。
訴訟提起時に掛かる費用としては、裁判所の印紙代(請求額に応じて増えて行きます)、訴訟手続中の協力医への相談費用や鑑定費用が掛かることもありますので、そうした見通しについては、提訴前に弁護士にたずねてみてください。