葵法律事務所の弁護士は、いつも誰かが医療事件に携わっており、日々様々な課題に取り組んでいます。
そこで、日々の活動の中で、医療事件に関連する出来事を日記風に取り上げて綴ってみたいと思います
もちろん、依頼者の利益を損ねてはいけないので、その点の了解を得ておくことが最優先となりますし、それでも記事の内容については慎重を期さなくてはいけません。
それゆえ、書いている内容が抽象的であったりしますが、そうした理由ですのでご理解のほどよろしくお願いします。
〇月✕日
ある死亡事故に関する訴訟で、裁判所に行きました。
すでに「弁論準備」という手続に入っています。
弁論準備とは、法廷ではなく、ラウンドテーブルでの平場の議論のやりとりで主張や証拠を確認する手続なのですが、医療訴訟は、わりと早い段階から、弁論準備に移ることが少なくありません。
医療事件の場合、最初から込み入った議論になることも多いですし、証拠資料の確認も膨大であったりしますので、法廷のやりとりではどうしても限界があるからです。
事件は窒息による死亡事故に関するものですが、今回は、主に事実関係に関する被告の主張に対する認否、反論の書面をこちら側が提出しています。
ただ、この事件を担当する裁判官は、どちらかといえばせっかちなタイプであり、事前に提出した書面はしっかり読み込んでもらえていると思うのですが、その分、双方に対する次回期日までの宿題の出し方が非常にタイトで、準備する側としてはかなりしんどくなります。
それでも、早期に事案のポイントを裁判所に理解してもらい、こちらの争点の捉え方に納得してもらうことはとても重要ですので、かなり気合を入れて書面を仕上げて臨みました。
やりとりの中で、裁判官が、「この流れでみると、被告が主張するような経過は辿らないのではないか」と感想を述べてくれていたのを見て、テーブルの下で小さくガッツポーズをしました。
次回は相手方の反論の予定ですが、こちらからも、主張の裏付けとなる医学文献を用意しなくてはなりません。
期日は2か月後、戦いは続きます。