最近、「鎌倉代書屋物語」というドラマにはまっています。
主演は、多部未華子さんで、脇を倍賞美津子さん、奥田瑛二さん、江波杏子さんといったベテラン俳優が固めています。
ドラマ自体も、非情に丁寧に作られていて、心の琴線に触れる良質な作品ですが、観ていてあれこれ思うこともありましたので、ちょっと取り上げてみたいと思います。
物語は、鎌倉で代書屋をやっていた祖母が亡くなり、祖母に反発していた孫娘が、最初は継がないつもりだった代書屋を引き継ぎ、その仕事を続けていくうちに、人間的に成長していくという、ざっくりといえば、まあそんなお話なの(だろうと思うの)ですが、観ていて思ったのは、この代書屋という仕事が、私たちの弁護士という仕事にちょっと似たところがあるのではないかということでした。
たとえば、第2話で、離婚する夫婦が、お世話になった人たちに送る最後の挨拶の手紙を主人公が代筆するという回なんか、まさに、離婚事件に取り組む時に、心にとめておかなければならない貴重なメッセージが含まれているように感じました。
ちょっと話が逸れますが、離婚事件に取り組むとき、「人生の再出発」に力添えをするのだという気持ちを忘れないようにと心がけています。
それは、ある著名な弁護士からうかがったことで、その言葉がとても腑に落ちたため、以後、離婚事件に向き合う際の「座右の銘」にしているつもりです。
ただ、「鎌倉代書屋物語」の第2話では、さらにその先にあるべき離婚事件の終わり方の理想形が描かれているように思えましたし、現実的には必ずしも容易ではないにせよ、事件に関わる上で、これもまた「座右の銘」とすべきではないかと感じ入った次第です。
このへん、詳しくはネタバレになるので書きませんが、とてもいいお話でした。
考えてみると、弁護士の仕事というのは、部分的には代書屋そのものだったりします。
先日も、ある事件で、依頼者に代わって、親族に送る手紙を「代書」してあげたのですが、実際の事件では、そんな局面がしばしば訪れます。
中でも、現在扱っているある遺言作成の事件は、まさに「代書屋」そのものといえるかもしれません。
遺言は、人生のゴールの前に、遺される人たちに想いを籠めたメッセージを残すという作業ですが、財産をどう分けたいかということだけでなく、自分の死後、子供たちが仲違いせずに仲良く幸せに生きてほしいと願って、そうした想いをしたためた文章を作るという目的もあったりします。
今回の遺言の中にも、財産の分け方以外に、なぜそのような遺言を残そうかと思ったか、依頼者の想いを綴る部分があり、先日も打ち合わせをしながら、そうした依頼者の気持ちを書き留めて帰りました。
人には様々な感情があり、またそこに至るまでの長い歴史があるのですが、そんな中から、できるだけネガティブな要素を排し、あとで読む人に遺言者の心情をポジティブに受け止めてもらえるような表現をと考えている真っ最中だったのです。
遺言に綴る文章が、残された人の心に強く響くものであれば、不毛な争いが避けられることもあるわけで、弁護士(代書屋)の腕の見せ所でもあるわけです。
ともあれ、この「鎌倉代書屋物語」というドラマについては、最後まで観続けようと思っています。
大好きな鎌倉が舞台となっていますし、主演の多部未華子さんの演技も見所です。
そういえば、多部未華子さんと倍賞美津子さんは、去年封切の「怪しい彼女」で同じ人物の役を演じており、こちらの映画も最高に面白かったのですが、中でも、表情豊かな多部未華子さんのコメディエンヌぶりは最高で、いっぺんにファンになりました。
もう一つ、そういえば、今年、やはり大好きな作品(漫画)の「鎌倉物語」が、これまた大好きな堺雅人さんの主演で映画化されるそうで、こちらも楽しみなのですが、今年は、大好きな鎌倉がブームになるのではないかなんてことをふと思ったりしています。
皆さん、鎌倉にお出かけあれ!