離婚した夫婦、あるいは別居中の夫婦の間でしばしば問題となるのが、子供との面会交流を巡るトラブルです。
当然のことながら、任意の話し合いで解決できなければ家庭裁判所に面会交流に関する調停を申し立てることになります。
実は、当事務所で扱わせていただいている面会交流調停において、ここのところで立て続けに「試行的面会交流」が実施されたのですが、その中でいろいろと感じたことがあるので、これから折に触れて取り上げてみたいと思います。
今回は「京都編」となります。
ちなみに試行的面会交流とは、定期的な面会交流の前に、子供の気持ちや反応を確かめるために、家庭裁判所における調査の一環として実施される試験的な面会のことです。
事件は、奥さんが子供を連れて、突然、京都の実家に戻ってしまったということでのご主人のほうからの依頼によるものでした。
相手方が京都在住なので、手続的には移送の問題などいろいろありましたが、面会交流の調停は京都の家庭裁判所で実施されることになりました。
そこで、依頼者本人とともに京都に行ったのですが、京都での調停は、いくつかの点で、神奈川や東京あたりで経験したものとは違っていました。
まず、調停委員や調査官の方々が、どこかゆったりと対応されている印象があったのですが、そうでありながら取り組みは非常に熱心かつ積極的でした(別に横浜などが熱心でないという趣旨ではありません。実際のところは、個々の調停委員、調査官によってもやり方が異なるので、一括りにするようなことでもありません)。
具体的には、たとえば、調停の待ち時間を利用して、子供が別に暮らしている親と会うことや関わることの意義を理解してもらうためのビデオを見せるといった試みがなされていました。
これをやると、調停の待ち時間が延びてしまうというデメリットもあるのですが、担当の調停委員、調査官はそのあたりは意に介する様子はなく、期日を実りのあるものにしたいという意気込みが強く感じられましたし、このビデオ視聴はとても意義のあることのように感じました。
実際、そのやり方が効を奏したのではないかと思うのですが、それまで奥さんの側が頑なに拒んでいた、試行的面会交流が、その日の時点で、実現される方向になったのです。
次に驚いたのが、試行的面会交流の実施場所でした。
試行的面会交流の実施方法については、横浜に限らず、家庭裁判所内の1室を使い、マジックミラーで様子を確認するなどしながら、別居している親と子供たちの接触を実現するというやり方が通常だと思うのですが、京都の場合は、南禅寺のそばにある「永観堂禅林寺」というお寺の境内で実施することが可能だというのです。
もちろん、当事者が希望すればということであり、また、秋の紅葉の季節は観光シーズンということでできないらしいのですが(このあたりもある意味京都らしいとはいえるかもしれませんが)、狭い室内での面会交流だと、子供が緊張したり、あるいは飽きてしまうと、気詰まりな感じになって、久しぶりに会う親御さんと親しんで来る前に面会時間が終了してしまうこともありますから、京都のような試みは試行的面会交流の手法としては非常に有効だと思った次第です。
横浜でも、三渓園とか、山下公園とか、散策に適した場所はたくさんあるのだから、ぜひ検討してもらいたいところです。
ほかにも、試行面会交流の実施については、ほかにもちょっと気になることもありますので、依頼者の方の了解が得られましたら、また取り上げてみようと思います。