前回の続きです(怒りのあまりの「である調」もそのまま続行です)。
今や、日本各地で感染爆発が起きているということを政府は認めないかもしれないが、すでにそうなっているという前提であらゆる対策を講じないといけない状況だ。
ただ、この問題の難しいところは、コロナウイルス感染の蔓延を防ごうとすると、国民生活や経済が致命的なダメージを受けてしまうことになるので、それをどうやってバランスを取るかということだ。
実際、ここまでの経過では、政府や自治体も、実体経済が麻痺しないようにという配慮ばかりを優先してしまっており(東京オリンピックの実施にも関連企業への経済的なダメージが大きい)、そのため、感染防止策が中途半端になってしまった結果、その間に感染が広がってしまい、収拾がつかなくなったことは明らかだ。
中途半端な政策でもって当面の実体経済の麻痺を防ごうとした結果、より重大で長期化しそうな実体経済の麻痺という事態を招いたといっても過言ではないだろう。
となると、もはやドラスティックな発想の転換をするしかないと思うのだ。
それは何かというと、ここまで来てしまった以上、今年は11ヶ月しかないのだと割り切り、これから1か月間、経済も交通も、必要最低限のものを除き、すべてストップさせるという方策だ。
なぜ1か月かというと、コロナウイルスの感染が2週間程度だという知見に基づけば、感染者が2週間、外部との関係を遮断したとすると、その間に家族が感染しても、家庭内の感染も含めて合計4週間で完治することが見込めるからだ。
いわば、「鎖国」ではなく、「鎖県」、「鎖市」、「鎖町」、そしてその究極ともいうべき「鎖家」といってもいいだろう。
もっとも、この政策を実施するにあたっては、その見返りとして、すべての労働者、事業者に対し、1ヶ月分の収入、売り上げを補償することがセットとして必須だ(もちろん、細かく見て行けば、たとえば、テナントを借りている事業者が補償を受ければ、賃貸収入を得ている賃貸人はそこから払われるので、補償の対象外となる人は出て来ることにはなるが)。
安倍政権は、緊急事態宣言をしながら(ちなみに、私は緊急事態宣言には反対の意見だが、それは、今回の「口先」の緊急事態宣言のことではないし、今の危機を乗り切るための政策は、そんな宣言とは関係なく、国会で議論して立案、実行可能なはずだ)、営業の自粛を要請するのみで、休業補償には消極的だが、そんな中途半端でせこい対応をしているから、営業自粛をすることで死活問題となる歓楽街の飲食店や性風俗店とすれば店を開かざるを得ないし、いつまで経っても感染の広がりを抑えられないという悪循環が止まらないことは目に見えている。
そんな状況が続けば、体力的に持ちこたえられなくなった事業者が次々と倒産、廃業に追い込まれ、失業者も爆発的に増大する結果となり、生活保護受給者も激増して、金がない以上、消費はさらに落ち込むから、家や車なども売れなくなって内需が破綻した結果、大型倒産が相次ぎ、税収が激減してしまうという国家にとっても最悪な事態(そうなると、さらに通貨危機さえあり得なくはない事態だ)が待っているだけだということになぜこの国の為政者たちは気づかないのだろうか?
とにかく、日々の国民生活のために必須な食料、日用品などの入手のプロセスであるとか、医療、福祉に関することを除き、すべての事業を1か月ほど(暦から抹消して)停止し、その分を国がすぐに補償すべきなのだ(もし、1か月後に収まっていなければ、延長しなくてはならないが、危機を乗り切るためにその時点で柔軟に考えればいいことだ)。
さらに、国がなすべき政策は、「消費税廃止」と「新たな雇用創出」だ。
1ヶ月の「鎖国」~「鎖家」で、感染爆発を食い止めたとしても、コロナウイルス感染の完全な終息は不可能だ(コロナウイルスの最も厄介なところは、グローバルに、しかも時間差で発生、拡大が繰り返され、延々と続くことで、グローバルな人やモノの移動がある限り、特効薬ができて行き渡るまでは、完全に感染を断ち切ることはできないからだ)。
それゆえ、その後の国民生活を支えるための政策は必須だ。
その点、消費税ゼロ政策は、国民の生活不安を持続的に和らげることにつながるし、それが消費行動を呼び起こし、事業者の破綻をも防ぐことになるはずだからだ(特に、消費税には逆進性があるから、消費税廃止は収入が低い人に有効な政策だ)。
あと、フランスでは、農業従事者を募集したら20万人応募があったという記事があったが、それを見習って、「雇用創出」を図るためのドラスティックな政策を考えるべきだ。
その点でもう一つ指摘するが、これから、国際的な人やモノの移動が難しくなる可能性があるので、この機会にこそ、食料や日用品の自給率を上げるための「構造変革」的な政策を打ち出すべきだ。
特に、食品自給率が異常に低い日本にとって、農業や漁業に力点を置いた構造改革こそ、雇用創出と自給自足経済の実現につながるという意味で、100年先のこの国の未来を守るための「真の構造改革」だといっても過言ではないだろう。
とにもかくにも、今の政府にはこのような視点が全くないのが本当に腹立たしいが、コロナウイルスがもたらした唯一の光明は、「(コロナウイルスという」疾風によって(安倍政権が)勁草でないことを知る」ことが出来たということだ。
こんな政権は今すぐにでも総辞職して、与野党の有志が集まり、「コロナ危機脱出内閣」を作ってもらいたいと強く思う今日この頃なのだ。