事務所トピックス
弁護士 折本 和司

ここのところ、書面や尋問の準備等に追われていますが、昨夜、作業の合間にアマゾンプライムを覗いたら、ちょうど井上尚弥とノニト・ドネアのバンタム級統一世界戦をやっていたので、久々にボクシングを観ました。そこで目にした井上尚弥のボクシングがあまりに凄まじかったので、ちょっと感想を書くことにしました。

 

かつてはボクシングの世界戦であれば、地上波で観戦できたのですが、アマゾンプライムで観戦とは時代の変化にも驚かされます。ただ、それよりもありがたかったのは、観たいところを何度でも戻して再生できることで、そのおかげで、井上尚弥の強さの秘密をタブレット画面上で何度も確認することができました。

 

私はボクシングはやりませんが、あしたのジョーをはじめ、ボクシング漫画は結構読みましたので、「うんちく」だけならそれなりに語れます。

というわけで、井上尚弥の強さと昨日のKO劇のポイントについてちょっと語ってみたいと思います。

 

まず、井上尚弥の強さの秘密ですが、並外れたスピードと、この階級ではあり得ないくらいのパワー、そして、中でも左のジャブと左のフックの破壊力の凄まじさについては、よく言われるところでしょう。

それが備わっている上でのことですが、何より驚いたのは、この厄介なスピードとパワーが備わった左からのパンチが連続で繰り出されることです。

しかも、それがジャブ、フックと多彩であり、またいろんな角度から飛んでくるわけですから、迎え撃つ方はたまったものではありません。

対戦相手のドネアも歴戦の勇士であり、同じく強烈な左フックを武器にしていますが、パンチの多彩さ、引き出しの多さでは明らかに井上尚弥の方が上回っている印象でした。

 

その引き出しの多さによって生み出されたのが、第1ラウンド終了間際の打ち下ろし気味に入った右ストレートでのダウンシーンです。

実況の解説の人たちも、一瞬のことで気づいていないのか、触れていませんが、アマゾンプライムで繰り返しスロー再生してみると、このダウンシーンは井上尚弥のスピードとパワーだけで決まったものではなく、その上に備わった多彩なテクニックによって生み出されたものだということがわかります。

実は、スローでよく見ると、この右ストレートの直前に放たれた左ジャブに続いて、その直後、井上尚弥の左拳がピクッと前に出ているのです。

そのため、ドネアは井上尚弥の左からのパンチに対応しかけます。

ところが、実際には左からではなく、右からのストレートパンチがドネアの顔面に入り、あっけなくダウンとなります。

つまり、このダウンは直接には右ストレートで奪ったものですが、それがあっさり決まったのは、左ジャブに引き続く左の絶妙なフェイントが効いているのです。

ここで主導権を握った井上尚弥は、続くラウンドで多彩な猛攻を仕掛け、最後は左フックで2度目のダウンを奪い、勝利するのですが、これだけのスピードとパワーの上に、左の使い方のうまさ、多彩さが備わっているのですから、そりゃ、強いわけです。

ホント、芸術的といってもいいですね。

 

あと、試合後のインタビューでも、ドネアに対する敬意を繰り返し述べており、非常に好感の持てるボクサーだと感じました。

これから上の階級に上がって、新たな挑戦をするようですが、精進を重ねて、ぜひ夢を実現してもらいたいと思いました。

2022年06月08日 > トピックス, 日々雑感
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