私たちが医療事件を扱って行くうえで協力医の存在は不可欠ですが、最近当事務所で扱っている医療事件において協力医との関係でとても嬉しく思ったことが続けてありましたので、ちょっとご報告します。
通常、協力医にお願いすることは、事案の資料を一緒に検証してもらうなどして、事故がどのような機序で起きたかであるとか、当該医療行為における注意義務違反の有無、結果回避可能性等についてディスカッションの時間を取っていただき、助言をしてもらうといったことになります。
ただ、事件によっては、協力医の方にお願いして、依頼者を直接診察していただく場合もあるのですが、それは、たとえば、ご本人が訴えている症状の原因やそこに至る機序を正確に把握しておく必要があるからです。
また、過失や因果関係を検討する上でも、協力医の方に患者を診ていただくことは非常に有用な場合があります。
もちろん、交通事故などでもあることですが、病状がなかなか改善せず、依頼者の側から協力医の紹介を頼まれることもあります。
そのような経緯で、事案によっては、依頼者に協力医がおられる病院を紹介して診察を受けてもらうということが時折あるのですが、それが良い結果につながるということが立て続けにありました。
一件は、手術ミスで動脈を損傷し、さらに術後の対応の遅れも重なって筋肉や神経が広範囲にわたって壊死したという事故で、その後の回復が捗々しくなかったため、今後の医療方針を検討してもらいたいという要望もあって、信頼できる外科医をご紹介したところ、その結果が非常に満足のいくものだったことから、最高の医師に出会うことができたということで、治療にあたってくださった外科医だけでなく、私たち弁護士にもお礼を述べてくださったのです。
もう一件は、ある医療ミスのせいで首から肩、背中、さらには腕にも強い痛みや痺れが出て、日常生活もままならなくなったということで、そこに至った機序を検討する中で、ペインクリニックの協力医の方をご紹介したところ、初回の診療の際の処置で症状がかなり楽になったということで、以後も通院を継続しておられますが、もしかしたら後遺症が残らず、治癒が見込めるかもしれないというところまで来たのです。
現在のところ、その方の症状はまだ完治までは行っていませんが、日常生活における苦痛はかなり軽減してきており、こちらのケースでも、依頼者の方からは、紹介した医師に対してだけでなく、私たち弁護士までお礼を言われ、なんだか面映ゆい気持ちになりました。
依頼者にとって、弁護士への依頼の目的はあくまで事件の解決であることはいうまでもありませんが、協力医の方との出会いが依頼者にとって救いになることがあるということは、ある意味、弁護士冥利に尽きると感じるところでもあります。